Claude Codeで経営者の壁打ち相手を作る|CLAUDE.md設計の実例公開

経営者の壁打ち相手

経営者の仕事は「判断」の連続です。新規事業に踏み切るか。この価格設定で勝負するか。今のタイミングで採用するか。毎日、正解のない問いに向き合い続ける。

それなのに、相談相手がいない。社員には本音を言えない。顧問税理士に経営戦略の相談はしづらい。経営者仲間に弱みは見せたくない。結果、頭の中だけでグルグル考えて、判断が遅れる。

当社(株式会社Saix)では、この問題をClaude Codeの「CLAUDE.md」という仕組みで解決しました。自社の経営情報をテキストファイルに書いて渡すだけで、24時間いつでも壁打ちできるAIパートナーが手に入ります。

この記事では、CLAUDE.mdの設計方法から、当社での運用実態、壁打ちの具体例まで全て公開します。

目次

なぜ経営者に「壁打ち相手」が必要なのか

経営者が1人で判断を下すとき、3つの問題が起きます。

確証バイアスに気づけない

「この事業はうまくいくはず」と思い込んでいるとき、都合の良い情報ばかり集めてしまう。これが確証バイアスです。壁打ち相手がいれば「その根拠、弱くないですか」と指摘してもらえる。1人だと、自分の思い込みに気づく手段がありません。

判断のスピードが落ちる

誰にも相談できないまま考え続けると、決断が先延ばしになります。「もう少し情報を集めてから」「来月の数字を見てから」。この先延ばしが、機会損失を生みます。壁打ちで論点を整理するだけで、判断スピードは上がります。

選択肢が狭くなる

自分の頭だけで考えると、過去の経験の範囲内でしか選択肢が出てきません。壁打ち相手がいれば「こういう切り口もありますよ」と、自分では思いつかなかった視点を提示してもらえます。

従来、この壁打ち機能を担っていたのは、コンサルタントや経営者仲間でした。しかし、コンサルは高額で、仲間には言えない内容もある。AIなら、守秘義務を気にせず、24時間、忖度なしで壁打ちできます。

CLAUDE.mdとは:AIに「引き継ぎ書」を渡す仕組み

Claude Codeは、Anthropic社が提供するAI開発ツールです。チャットでAIと対話しながら、コード生成やファイル操作を行えます。

このClaude Codeには「CLAUDE.md」というファイルを読み込ませる機能があります。プロジェクトのルートにCLAUDE.mdを置くと、AIが毎回の会話でその内容を自動的に参照します。

これは「優秀な部下に引き継ぎ書を渡す」のと同じです。新しく入った社員に、会社の事業内容、組織構成、判断基準、やってはいけないことを引き継ぎ書として渡すように、AIにも同じ情報を渡す。すると、AIは毎回の会話で「この会社の文脈」を理解した上で回答するようになります。

普通のChatGPTとの違い

ChatGPTやClaudeの通常チャットでは、毎回「弊社は〇〇という事業をやっていて、売上は〇〇で……」と説明し直す必要があります。CLAUDE.mdは、この説明コストをゼロにします。

加えて、CLAUDE.mdにはルールファイル(.claude/rules/)を追加できます。「マーケティング施策の議論ではファネル構造を前提にする」「財務分析では月次データを基準にする」といった部門別のルールを設定でき、AIの回答精度が飛躍的に上がります。

壁打ちパートナーを作るCLAUDE.md設計テンプレート

ここからが本題です。以下のテンプレートをCLAUDE.mdにコピペして、自社の情報を埋めてください。これだけで「自社の文脈を理解した壁打ちAI」が完成します。

ブロック1:会社情報

# 会社情報
- 社名:(記入)
- 業種:(記入)
- 従業員数:(記入)
- 年商:(記入)
- 主力サービス:(記入)
- ターゲット顧客:(記入)

会社の基本情報です。AIはこの情報をもとに「御社の規模感なら……」「BtoBなら……」と文脈に合った回答を返します。年商や従業員数を入れることで、「大企業向けの提案」ではなく「自社の現実に即した提案」が出てくるようになります。

ブロック2:経営者の判断基準

# 経営者の判断基準
- 最優先事項:(例:顧客満足度)
- 避けるべきこと:(例:品質を犠牲にしたコスト削減)
- 意思決定のスタイル:(例:データ重視 / 直感重視 / 両方)

これが壁打ちAIの精度を決めるブロックです。「最優先事項」を設定すると、AIは提案のたびにその基準と照らし合わせます。「避けるべきこと」を設定すると、AIはその選択肢を除外した上で提案します。

例えば「避けるべきこと:品質を犠牲にしたコスト削減」と書けば、壁打ち中に「コストを下げるために外注の質を落としましょう」という提案は出てこなくなります。

ブロック3:AIへの指示

# AIへの指示
- 回答のトーン:率直に。忖度しない。問題点は明確に指摘する
- 回答の構造:結論→根拠→具体的アクション の順
- 使ってはいけない表現:「検討しましょう」「重要です」等のぼかし表現

AIの回答スタイルを制御するブロックです。「忖度しない」「問題点は明確に指摘する」と書くことで、AIは耳が痛い指摘もストレートに伝えてきます。これが壁打ちとして機能する理由です。

「検討しましょう」を禁止しているのは、経営判断の壁打ちでぼかし表現は邪魔だからです。「やるべきです。理由は3つ」「やめるべきです。根拠はこのデータ」——こういう切れ味のある回答が、経営者には必要です。

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Saixでの実際の運用:6部門をAIが横断管理

テンプレートだけでは実感が湧かないと思います。ここからは、当社(株式会社Saix)での実際の運用を公開します。

6部門をディレクトリで管理

当社のCLAUDE.mdには、以下の6部門がディレクトリ構成として登録されています。[D]

  • CPO(商品設計):事業戦略、セミナーカリキュラム、ロードマップ
  • CMO(マーケティング):媒体別コンテンツ管理(LINE/YouTube/Instagram/X/Facebook・LinkedIn/Note/LP/メルマガ/広告/セミナー/セールス)
  • CFO(経営管理):財務管理、サブスク管理、週次振り返り
  • CHRO(人事):採用戦略、インターン業務設計、組織体制
  • CSO(営業):顧客ライフサイクル管理、CRM、新規開拓、商談、デリバリー
  • CTO(技術):プロンプト技法、資料作成テンプレート、運用ガイド

この構成をCLAUDE.mdに書いておくことで、AIは「この質問はCMOの領域だな」「この判断にはCFOのデータが必要だな」と自動で判断し、適切な情報を参照して回答します。

57個のカスタムスキルで業務を自動化

当社では、Claude Codeに57個のカスタムスキルを登録しています。[D]

「見積書作って」と入力すればPDFの見積書が自動生成される。「YouTube台本」と言えば、企画から構成、概要文、サムネイルまで一気に作れる。「競合分析」と指示すれば、Web調査からレポート作成まで実行される。

これらのスキルは、CLAUDE.mdの「スキル呼び出しルール」に登録されており、特定のキーワードをトリガーに自動で起動します。

14の外部サービスと連携

さらに、Google Calendar、Sheets、Drive、Gmail、WordPress、Chatworkなど14の外部サービスとAPI連携しています。[D]

AIが単独で動くのではなく、実際の業務ツールと接続されている。だから「来週の空いてる日を確認して、顧客にメールで候補日を送って」という指示が、1回の会話で完結します。

「計画→実行→検証」の3段階ワークフロー

当社のCLAUDE.mdには、AIの作業プロセスも定義しています。[D]

  1. 計画モード:3ステップ以上のタスクは、まず計画を立てる。いきなり手を動かさない
  2. サブエージェント委任:リサーチや分析は別のAIプロセスに委任し、メインの作業を止めない
  3. 検証:完了前に必ずセルフチェックを実行。未検証のまま「できました」と言わせない

このワークフローをCLAUDE.mdに書いておくだけで、AIの作業品質が安定します。

壁打ちの具体例3選

CLAUDE.mdを設計した後、実際にどんな壁打ちができるのか。当社で日常的に行っている3つのパターンを紹介します。

具体例1:新規事業の意思決定

「法人向けAI研修に加えて、個人向けのオンラインスクールを始めるべきか」——この判断をAIと壁打ちしました。

CLAUDE.mdに当社の年商規模、現在のリソース、ターゲット顧客が登録されているため、AIは「御社の現在のリソースでは、toB研修とtoC スクールの同時運営は厳しい。まずはtoBで売上基盤を固め、余剰リソースが出た段階でtoCに参入すべき」と回答しました。

「判断基準」ブロックに「品質を犠牲にしない」と書いてあるため、リソース分散による品質低下リスクを自動で指摘してくれた形です。

具体例2:価格設計の検証

「AI顧問サービスの月額料金を改定したい。現行価格は適正か」——こうした価格設計の壁打ちもAIが得意とする領域です。

CLAUDE.mdに登録された競合情報やターゲット顧客(中小企業の経営者)の情報をもとに、AIは「現行価格は市場の中で〇〇のポジション。ターゲットの予算感を考えると、値上げするなら提供価値の追加が必要」と具体的に返してきます。

ぼかし表現を禁止しているので、「検討の余地があります」ではなく「この価格では高い。根拠は〇〇」とストレートに言い切ります。

具体例3:採用のタイミング判断

「インターンを増やすべきか、業務委託で外注すべきか」——人材に関する壁打ちです。

CFO(経営管理)のデータとCHRO(人事)の組織設計情報の両方がCLAUDE.mdに登録されているため、AIは「現在のキャッシュフローを考えると、固定費が増えるインターン採用より、変動費で調整できる業務委託が適切。ただし、〇〇の業務はノウハウ蓄積が必要なので内製化すべき」と、財務と組織の両面から回答しました。

6部門のデータが横断的に登録されているからこそ、単一の視点ではなく経営全体を見た回答が出てきます。これが、CLAUDE.mdを設計する最大のメリットです。

まとめ

CLAUDE.mdは、AIに「自社の文脈」を渡すためのテキストファイルです。会社情報、判断基準、回答ルールの3ブロックを書くだけで、経営者の壁打ちパートナーとして機能し始めます。

当社では、この仕組みを6部門の横断管理、57個のカスタムスキル、14の外部サービス連携にまで拡張し、経営判断だけでなく日常業務の大部分をAIが担う体制を構築しています。[D]

まずは、この記事で紹介したテンプレートをコピペしてCLAUDE.mdに貼り付けてみてください。自社の情報を埋めるだけで、あなた専属の壁打ちAIが今日から使えるようになります。

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この記事を書いた人

株式会社Saix代表取締役

延べ4,000名以上にAI研修を実施|YouTube「かいちのAI大学」登録者約5万人|北の達人コーポレーション、ライトアップ、メディアハウスホールディングス、AnyMind Japanなど、東証プライム上場企業から中小企業向けの生成AI研修や経営者向けのAIコンサルティングを行う|会計事務所・税理士向けAI研修延べ130名以上の実績|その他メディア掲載複数(TechTrends、アットリビングなど)

「AIを使ってAIを広める」をコンセプトに、AI人材育成・AI顧問コンサルティング・AIコンテンツマーケティング支援の3事業を展開。

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