税理士事務所で採用ができない7つの原因と今すぐ実践できる解決策

税理士事務所で採用ができない7つの原因と今すぐ実践できる解決策

「求人を出しても応募がゼロ」「やっと採用できた職員が1年で辞めてしまう」――こうした悩みを抱える税理士事務所の所長は少なくありません。

税理士試験の受験者数は過去20年で半減し、業界全体が深刻な人材不足に直面しています。しかし、同じ市場環境でも安定して人材を確保できている事務所は確かに存在します。

この記事では、税理士事務所で採用ができない7つの根本原因を特定し、採用力を劇的に変える具体的な解決策を解説します。繁忙期の人手不足を今年こそ終わりにするためのヒントが見つかるはずです。

目次

税理士事務所で採用ができない7つの根本原因

採用ができない7つの原因を一覧にした図解。業界構造・待遇・情報発信の3カテゴリに分類

採用がうまくいかない事務所には、共通するパターンがあります。まずは原因を正確に把握することが改善の第一歩です。

原因1:税理士志望者そのものが減少している

国税庁の統計によると、税理士試験の受験者数は2005年度の約56,000人から2020年度には約26,000人へと半減しています。さらに近年も減少傾向は続いており、そもそも「税理士を目指す人」のパイが大きく縮小しています。これは個別の事務所の努力だけでは解決できない構造的な問題です。

加えて、有効求人倍率は2倍を超える水準で推移しており、完全な売り手市場が続いています。事務所側が「選ぶ」立場から「選ばれる」立場に変わっていることを認識する必要があります。

原因2:即戦力志向が採用の間口を狭めている

多くの税理士事務所では「経験者・有資格者」を求める傾向が強く、未経験者やポテンシャル人材を敬遠しがちです。一般企業のように新卒を採用して長期的に育成する体制が整っていないことが背景にあります。

しかし、経験者を奪い合う市場で戦い続ける限り、中小規模の事務所が大手税理士法人に勝つことは困難です。採用の間口を広げ、育成に投資するという発想の転換が求められています。

原因3:繁忙期の長時間労働が敬遠される

確定申告(1〜3月)や年末調整(11〜12月)、法人決算期などの繁忙期に業務が集中し、長時間労働が常態化している事務所は少なくありません。こうした働き方は、特にワークライフバランスを重視する若手人材から敬遠される大きな要因です。

転職口コミサイトやSNSで「会計事務所はブラック」というイメージが広がっていることも、応募をためらわせる一因になっています。

待遇と環境の問題――給与・キャリアパスの不透明さ

税理士事務所の待遇面の課題を可視化した図解。給与水準、キャリアパス、働き方の3軸で一般企業と比較

原因4:給与水準が市場と乖離している

会計事務所の給与水準は、同等のスキルを持つ一般企業の経理職やコンサルティングファームと比べると低い傾向にあります。「税理士資格を取得すれば独立できる」という将来性が補完していた時代もありましたが、独立志向の低下と共にこの魅力も薄れつつあります。

給与だけで大手と競うのは現実的ではありません。だからこそ、給与以外の価値――成長機会、裁量権、専門特化――を明確に打ち出すことが中小事務所の勝ち筋になります。

原因5:キャリアパスが見えない

「入所後に何ができるようになるのか」「5年後にどんなポジションに就けるのか」が明確でない事務所は、成長意欲の高い人材を引きつけることができません。特に20〜30代の求職者は、スキルアップの機会とキャリアの将来像を重視する傾向が顕著です。

評価制度や昇格基準が曖昧なまま「見て覚えろ」「背中を見て育て」という属人的な育成に頼っていると、採用段階で敬遠されるだけでなく、入社後の早期離職にもつながります。

原因6:求人票・採用チャネルが時代遅れ

ハローワークと業界専門の求人サイトだけに頼り、自社の魅力を十分に伝えられていない事務所が多く見られます。求人票の内容も「記帳代行・申告業務」「実務経験3年以上」といった定型的な記載にとどまり、事務所の個性や将来ビジョンが見えないケースがほとんどです。

今の求職者はIndeedやWantedly、SNSなど複数の媒体で情報収集を行います。求職者が「ここで働きたい」と思える情報発信ができているかどうかが、応募数を大きく左右します。

原因7:事務所の”見え方”に投資していない

ホームページが古い、またはそもそも存在しない。SNSでの情報発信をしていない。こうした事務所は、求職者の選択肢に入ること自体が難しくなっています。

求職者は応募前に必ず事務所のWebサイトを確認します。情報が乏しい事務所は「この事務所は大丈夫だろうか」という不安を生み、応募を見送られてしまいます。採用活動は「求人票を出す」前の段階、つまり事務所のブランディングから始まっているのです。

今すぐ実践できる採用力強化の5つの施策

採用力強化の5つの施策をステップ形式で示した図解。短期施策と中長期施策を分けて表示

原因を把握したら、次は具体的な改善策に移りましょう。すべてを一度に実行する必要はありません。効果が出やすい施策から順に取り組むことが重要です。

施策1:未経験者・ポテンシャル採用に舵を切る

経験者採用だけに固執するのではなく、簿記2級レベルの知識を持つ未経験者や、異業種からのキャリアチェンジ希望者にも門戸を開きましょう。

未経験者を採用する場合、育成の仕組みが不可欠です。以下のような段階的な育成プログラムを整備することで、3〜6ヶ月で基本的な記帳・入力業務を任せられるレベルに引き上げることができます。

  • 入所1ヶ月目:会計ソフトの操作研修+先輩の業務に同行
  • 2〜3ヶ月目:簡易な記帳代行をOJTで担当(チェック体制あり)
  • 4〜6ヶ月目:小規模法人の月次処理を主担当に

業務マニュアルやチェックリストを整備しておくことで、育成の属人化を防ぎ、教える側の負担も軽減できます。

施策2:働き方改革で「選ばれる事務所」になる

繁忙期の長時間労働を完全にゼロにすることは難しくても、年間を通じた業務平準化や柔軟な勤務体制の導入は十分に可能です。

  • フレックスタイム制:繁忙期はコアタイムを設けつつ、閑散期は時短勤務を許可
  • リモートワーク:月次監査の報告書作成など、場所を選ばない業務はテレワークを認める
  • 時短正社員制度:育児・介護中の職員も正社員として継続できる仕組み

これらの制度は、既存職員の離職防止にも直結します。離職率が下がれば採用コストも抑えられるという好循環が生まれます。

施策3:採用チャネルを複線化する

ハローワークや専門求人サイトだけでなく、以下のチャネルを並行して活用しましょう。

  • Indeed・求人ボックス:検索型の求人サイトで幅広い層にリーチ
  • Wantedly:事務所のビジョンやカルチャーを発信し、共感採用を狙う
  • SNS(X・Instagram):事務所の日常や職員の声を発信し、認知を広げる
  • リファラル採用:既存職員の紹介制度を整備し、紹介報酬を設ける

特にWantedlyは、事務所の理念や働き方に共感した人材が応募してくるため、入社後のミスマッチが起きにくいという利点があります。

採用難を根本から解決するには、事務所の業務そのものを進化させるアプローチが有効です。実際にChatGPTやClaudeで記帳・申告業務を効率化しながら、顧問先への経営支援に時間を充てている事務所が増えています。そうした事務所が具体的にどんなツールをどう使っているのか、10のユースケースをプロンプト例・設定手順付きでまとめました。

ここまで、税理士事務所が採用力を高めるための施策を解説してきました。

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AI活用が採用力を変える――業務効率化の先にあるもの

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ここまで紹介してきた施策は、いずれも重要な基盤です。しかし、より本質的に採用力を変えるアプローチがあります。それがAI(人工知能)を活用した業務効率化です。

AIと聞くと「難しそう」「自分たちには関係ない」と思われるかもしれません。しかし、2024年以降に登場したChatGPTをはじめとする生成AI(テキストや文章を自動で作成できるAI)は、ITに詳しくない方でも使えるレベルまで進化しています。

定型業務のAI化で残業を削減する

税理士事務所の業務には、AIで効率化できるものが数多くあります。

  • 議事録・報告書の作成:顧問先との面談内容を音声入力し、生成AIで報告書に自動変換
  • メール文面の作成:顧問先への定型的な連絡メールをAIが下書き
  • 税制改正の要約:膨大な法改正情報をAIで要点整理し、職員や顧問先向けの資料を効率的に作成
  • マニュアル・チェックリストの整備:ベテラン職員の暗黙知をAIを使って体系化

これらの業務をAIで効率化することで、職員1人あたりの作業時間を削減できます。残業が減れば働きやすさが向上し、それが採用における大きなアピールポイントになります。

「AI活用事務所」というブランドが若手を引きつける

AIを積極的に活用していることそのものが、採用における差別化要因になります。20〜30代の求職者にとって、「最新のテクノロジーを取り入れている事務所」は魅力的に映ります。

求人票やホームページに「AI活用で業務効率化を推進中」「生成AIを使った新しい働き方を実践」と記載するだけでも、他事務所との差別化が可能です。実際に、IT活用に積極的な事務所ほど若手の応募が増えるという傾向は、多くの採用支援会社が指摘しています。

重要なのは、AIの導入自体が目的ではなく、「AIを使ってどんな価値を生み出しているか」を発信することです。「AIで作業が楽になった」だけではなく、「AIを活用して顧問先により高度な提案ができるようになった」という付加価値の文脈で伝えることが、成長意欲の高い人材には響きます。

事務所ブランディングで「応募される事務所」に変わる方法

事務所ブランディングの全体像を示した図解。ホームページ・SNS・求人票の3つの接点と、伝えるべきメッセージの一覧

採用力の強化は、求人票を出す前の段階――つまり事務所の「見え方」をどう設計するかで大きく左右されます。ここでは、中小規模の事務所でも今すぐ始められるブランディング施策を紹介します。

ホームページを「採用ツール」として再設計する

税理士事務所のホームページは顧問先向けの内容が中心になりがちですが、求職者も必ずチェックする重要な接点です。以下の要素を盛り込むことで、採用力が格段に向上します。

  • 所長のビジョン:「この事務所はどこを目指しているのか」を明確に語る
  • 職員インタビュー:実際に働いている人のリアルな声を掲載する
  • 1日のスケジュール:入所後の働き方が具体的にイメージできる情報
  • 育成制度・キャリアパス:入所後の成長ステップを可視化する
  • 事務所の特色:AI活用、専門特化(医療・不動産等)、顧問先への経営支援など

SNS発信で事務所の「人柄」を見せる

X(旧Twitter)やInstagramで事務所の日常を発信することも効果的です。大がかりな施策は不要で、以下のような投稿を週2〜3回行うだけでも認知度は変わります。

  • 事務所の勉強会やランチの様子
  • 税制改正のワンポイント解説
  • 職員の資格合格報告
  • 所長の経営に対する考え方

こうした発信を続けることで、「この事務所の雰囲気が好き」「この所長の考え方に共感する」という理由で応募してくる人材が現れます。共感をベースにした採用は、入社後の定着率が高いことが特徴です。

求人票を「ラブレター」に変える

求人票は単なる条件の羅列ではなく、「あなたにこの事務所で働いてほしい理由」を伝える手紙として書き直しましょう。

NG例:「記帳代行・申告業務。実務経験3年以上。月給25万円〜」

OK例:「記帳代行の”その先”を一緒に作りませんか。当事務所では、AIを活用した業務効率化に取り組み、空いた時間で顧問先への経営アドバイスを強化しています。経験の有無より、”会計の力で中小企業を支えたい”という想いを持つ方を求めています。」

条件面で大手に勝てなくても、ビジョンや成長機会で差別化できれば、中小事務所にこそ来たいという人材と出会えます。

顧問先へのAI活用支援が新たな収益源と採用力を同時に生む

顧問先へのAI二次展開のビジネスモデル図。事務所がAIスキルを習得→顧問先に提供→新収益+顧問料アップ→職員のやりがい向上→採用力アップの循環

ここまでの解決策は「いかに人材を集めるか」という視点でしたが、最後にもうひとつ、競合記事ではほとんど触れられていない視点を紹介します。それは、事務所が身につけたAI活用ノウハウを顧問先に展開するという戦略です。

「記帳代行だけの事務所」から脱却する

クラウド会計の普及により、記帳代行は価格競争に陥りやすくなっています。この状況で事務所の収益性を高めるには、付加価値の高いサービスを上乗せする必要があります。

たとえば、事務所内でAI活用のノウハウを蓄積した後、それを顧問先の中小企業に対して「AI活用支援」「業務効率化コンサルティング」として提供するモデルが考えられます。

  • 顧問先の請求書処理や経費精算のAI化を支援
  • 顧問先の社内文書作成を生成AIで効率化する方法をレクチャー
  • 月次面談時に「今月のAI活用ワンポイント」を提供し、顧問先満足度を向上

こうした付加価値サービスは、顧問料の値上げ交渉の材料にもなります。「AIのことも相談できる税理士事務所」は、顧問先にとっても乗り換えにくい存在になるのです。

「ここで働けば最先端のスキルが身につく」が最強の採用メッセージになる

顧問先へのAI活用支援を事業として展開している事務所は、求職者に対して「税務の知識だけでなく、AI活用スキルも身につく」というメッセージを打ち出せます。これは他事務所にはない強力な差別化ポイントです。

成長意欲の高い人材は「ここで何を学べるか」を重視しています。税務・会計の専門知識に加えて、AI活用というこれからの時代に必須のスキルが身につく環境は、若手にとって非常に魅力的に映ります。

結果として、以下のような好循環が生まれます。

  1. 事務所がAI活用ノウハウを蓄積する
  2. 顧問先にAI活用支援を提供し、新たな収益源が生まれる
  3. 職員は最先端のスキルを習得でき、やりがいが向上する
  4. 「AI活用事務所」として採用ブランドが強化される
  5. 優秀な人材が集まり、サービス品質がさらに向上する

この好循環こそが、人材不足時代における税理士事務所の持続可能な成長モデルです。

まとめ:採用ができない事務所を「選ばれる事務所」に変える3つのポイント

記事の要点を3つにまとめた図解。①採用の間口を広げる ②働き方と情報発信を変える ③AI活用で事務所の価値を高める

税理士事務所の採用難は、業界全体の構造的な問題です。しかし、だからこそ正しい打ち手を実行した事務所が大きなアドバンテージを得ることができます。

本記事の要点を3つに整理します。

  1. 採用の間口を広げる:即戦力にこだわらず、未経験者・ポテンシャル人材の育成に投資する。育成の仕組み(マニュアル・OJT体制)を整備すれば、3〜6ヶ月で戦力化は十分に可能
  2. 事務所の「見え方」を変える:ホームページ・SNS・求人票を通じて、事務所のビジョン・カルチャー・成長機会を発信する。求職者は条件だけでなく「この事務所で働く意味」を求めている
  3. AI活用で事務所の価値そのものを高める:業務効率化による働きやすさの向上に加え、顧問先へのAI活用支援という新たな価値を生み出すことで、「ここで働けば成長できる」という最強の採用メッセージが完成する

次のアクション:まずは自事務所の求人票を見直し、事務所の強みやビジョンが伝わる内容に書き換えることから始めましょう。そのうえで、AI活用による業務効率化を1つでも実践し、その取り組みを採用情報として発信することが、採用力を変える最初の一歩になります。

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この記事を書いた人

株式会社Saix代表取締役。

延べ4,000名以上にAI研修を実施。東証プライム上場企業から中小企業まで幅広くAI導入を支援。

「AIを使ってAIを広める」をコンセプトに、AI人材育成・AI顧問コンサルティング・AIコンテンツマーケティング支援の3事業を展開。

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